株式会社Kyulux 様
2020年10月
従業員30名~99名/有機ELメーカー
技術系社員のエンゲージメント/RUFT調査
2015年に設立された最先端技術の開発を行うスタートアップ企業である株式会社Kyulux。2012年に九州大学安達千波矢教授が開発した世界初の有機光エレクトロニクス技術(TADF発行体技術)を応用し、有機ELディスプレイと照明パネル用の材料を製品化すべくハイテクベンチャー企業として躍進しています。これまでにない有機ELとして、スマートフォンや多くのディスプレイでの実用化が期待されています。Kyuluxの安達淳治社長は、EY Japanが主催するアントレプレナー表彰制度「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2020 ジャパン」で、Challenging Spirit部門大賞受賞の栄誉に輝きました。多くの投資家の期待を胸に、昼夜を問わず、世の中にない全く新しい技術の実現に、日本(福岡)とアメリカ(ボストン)の拠点が協力しながら一致団結して挑戦しています。製品化が実現すれば、人類に新たな歴史を刻むほどの偉業となるといわれています。今回は、RUFT調査実施の経緯と実施後の感想を、Kyuluxの安達社長、水口CFO、小山田開発部長、三宅人事マネージャーの4名に座談会形式でお伺いしました。
お話し頂いた方
株式会社Kyulux
代表取締役社長 安達 淳治様
最高財務責任者 水口 啓 様
研究開発部長兼商品開発部長 小山田 崇人様
管理部マネージャー 三宅 裕理様
技術ベンチャーとして社員のエンゲージメントは気になっていました。
―RUFTとのご縁はどのようなことですか。
安達様:RUFTの古屋社長が九州大学で客員教授をされているご縁から、Kyuluxの共同創業者であり、科学アドバイザーである九州大学の安達千波矢教授から紹介を受けました。安達教授は、RUFTの研究・教育アドバイザーもされており、一度調査してみたらどうですかとお誘いを受けました。Kyuluxは、2015年の設立以来、最先端技術者集団として有機ELの研究開発を発展させてきました。社員も70名を超え、日本とアメリカの2拠点、実は、日本は更に3拠点に分散しておりますが、このような分散された拠点で活動しております。社員が全員集まる機会も少なく、オンライン会議の仕組みを利用してコミュニケーションを行っております。自分は外出が多く、なかなか社員と話す機会も少ない状況ですので、コミュニケーションやエンゲージメントに関する調査を行うことは価値があると思い実施することにしました。管理部で人事を担当する三宅マネージャーを窓口にRUFT調査を日米全ての拠点に勤務する社員に実施しました。日本人には日本語で、日本人以外は英語による調査です。ほぼ全員から回答を収集できました。
―設立から5年を経て何が知りたかったのですか。
水口様:自分はCFOの立場として、Kyuluxの研究開発を資金面で支えています。社長も自分も対外的な役割が多く、なかなか社内のことは出来ておりません。開発部門の小山田部長や人事の三宅マネージャーが入社して、この数年で組織的にまとまってきています。当社は、技術者集団ですので、真面目な社員が多いですが、ベンチャー企業として、大きな目標に向かって一丸となって進んでいくことが非常に大事と考えています。その意味では、社員一人ひとりがエンゲージメント高く、自分の仕事に邁進出来ているかを知ることは経営として重要なことと思っていました。先に述べましたように、自分も外出が多いので、社員とのコミュニケーションは、なかなかチャンスがない状況です。今回の調査で、社員の本当の気持ち、本音が知りたいと思いました。
―コロナの影響はありましたか。
三宅様:当社のように開発研究を行うためには、日夜、実験室で実験することが必要です。一時期、コロナの深刻な影響で、一部施設が使えなくなり、実験ができない時期もありましたが、今は正常な状態に戻っています。実は、当社は今年で5周年を迎えます。そこで、管理部が中心になって今年3月に5周年記念行事の開催を予定しておりました。残念ながら、準備は完了したのですが、開催はできませんでした。この記念行事は、組織作りの点でも重要な意味がありました。昨年10月に会社の理念を制定、全社員に通達しました。Kyulux社員としての行動基準を明確にするためです。携帯用の理念・行動基準カードも作りました。12月には、行動基準研修を実施しました。そして3月の記念行事では、全社員による理念研修を予定していました。しかし、お話ししましたように、コロナのため、5周年行事は中止となりました。当社は、中途採用の人が多いため、どうしても前の会社でのやり方で業務を行うことがあります。そのような状態から、組織として、社員がみな、同じ行動基準と考え方に則って行動できるような状態に変容したいと考え、これまで基準やルールを作ってきました。このような経緯がありますので、今回のRUFT調査結果をうまく活用して、記念行事開催の在り方や、理念や組織としての基準やルールの浸透方法を考えていきたいと思いました。
概ね予想通りの結果になりました。
―調査結果を見てどうでしたか。
小山田様:予想通りの結果でした。Kyuluxは、世界最先端の科学技術の開発を行っていますので、そのために結集しました技術者たちのエネルギーや、やる気が高いことが確認できました。組織面では、ミドル層を明確に位置付け育成中なのですが、調査結果にも、これまで行ってきたことの成果、まだ行っていないことの影響がはっきりと出ていました。想定通りの内容でした。その意味では、今後の展開は、これまで社内で検討していた通りの進め方で大丈夫であることがわかりました。理念についても、全社の理念の浸透はもちろんのこと、部門単位でも明確な部門ミッション、方針の共有を一層進めていくことの正しさがはっきりしました。
―調査結果によって気づいた点はありますか。
三宅様:評価制度について、社員の反応についての報告がありました。実は、この内容も説明のつくものでした。新しい評価制度を今年から始め、現在進行中になっているからです。従って、当然、そのような状態であることを社員は感じて回答しております。改めて、RUFT調査は、本当に、コミュニケーションの様々な点まで、社員の意見が明確に出てくる仕掛けなのだと良く分かりました。
横のコミュニケーションは横ぐしプロジェクトや社内報を進めたいですね。
―拠点が複数分かれていることの影響はありますか。
小山田様:調査報告書で、横のコミュニケーションについての指摘がありました。どこの会社でも横のコミュニケーションは課題であるとRUFTから説明がありましたが、当社は、拠点が分散していることも影響しているかもしれません。開発については、企画から開発までの流れの活用、横ぐしを通すようなプロジェクトを通じた効果検証を進めていきたいと考えています。部門間についても、それぞれのミッションや役割を考えて、どのように補完し合っているのかをメンバーが分かるようにすれば、より積極的なコミュニケーションが社員間で生まれてくると考えています。
―最後にRUFT調査全体にご意見はありますか。
三宅様・小山田様:今回の調査を通じて、3月に予定していた5周年記念行事を、形を変えながらでも実行していくことの重要性がよくわかりました。ひとつの方向性に向けて、全員が一丸となって取り組んでいく、取り組んでいるということを全員が意識できるようなコミュニケーションの必要性を感じました。1つの例は、社内報かもしれません。各部門のリーダーが、その人物の面白さも含めて、部門の紹介を行う。部門の紹介に加えて、社員個人の紹介を行う。WEB形式、PDF形式、媒体はいろいろですが、価値はありそうだと思いました。当社は、技術開発ベンチャーですので、朝礼を行って、大声で理念を唱和するといったスタイルは合わないような気がします。RUFT調査は、コミュニケーションという普遍的なテーマについて多面的な気づきと、個別の企業の事情に合わせた提案を与えてくれました。より一層、組織の変革を進めていきたいと思います。
ー本日は、ありがとうございました。