中央葡萄酒株式会社 様
2025年1月
ワイン醸造業
LOVE-BASED COMPANY研修
中央葡萄酒株式会社は、1923年に、初代三澤長太郎様が山梨県勝沼町で創業され、「長太郎印葡萄酒」の発売に始まる歴史あるワイン醸造会社です。2025年には、創業102年を迎えます。1953年三代目三澤一雄様が中央葡萄酒株式会社を設立、現在の土台を築くワインブランドである「GRACE」が誕生しました。1961年には、作家の山本周五郎の随筆集「暗がり弁当」の中で、同社製品の一つが国内で見出した逸品として紹介されています。1989年現在の社長である四代目三澤茂計様が社長に就任、事業の成長を図られます。甲州の垣根栽培の開始、自社管理農園の開園、2008年には五代目三澤彩奈様が栽培醸造責任者に就任され、気品あるワイン(GRACE WINE)作りに専念され、数々の世界的なワインコンクールで金賞を受賞し、その栄誉を高めていきます。三澤茂計社長と彩奈さんの親子鷹の奮闘は、2018年に出版された『日本ワインで奇跡を起こす、ダイヤモンド社』に詳細に記されています。中央葡萄酒のGRACE WINEは、その名の通り、気品高く、エレガントな国内最高峰の日本ワイン(日本で栽培されたブドウだけで国内醸造されたワイン)です。国内に多くのファンを集め、更に、英国はじめ多くの国にも輸出されています。グローバルに、日本ワインの名声を高める活動も熱心に展開されておられます。 今般、三澤茂計社長と当社社長の古屋光俊が、東京工業大学、三菱商事の先輩、後輩であることから、三澤社長よりお声掛け頂き、古屋が提唱する、『LOVE-BASED COMPANY』についての社員研修会が実現しました。研修の感想を、三澤社長からお伺いしました。
お話し頂いた方
中央葡萄酒株式会社
代表取締役社長
三澤 茂計 様
会社を次の時代に託すタイミングです。
―『LOVE-BASED COMPANY』研修のきっかけは何ですか
三澤:中央葡萄酒は、100年を超えるファミリー企業です。私で四代目になります。これからも五代目に継承していきたいと考えております。「Small is beautiful.」、これは、英国のシューマッハー(スモール・イズ・ビューティフル、E.F.シューマッハー、小島慶三・酒井懋訳、講談社学術文庫)が提唱した人間中心の経済学です。当社は、この思想のもと、国内最高峰の日本ワイン作りを行っております。事業の承継にあたり、社員に当社の考え方、思想の大事さを認識させ、新しい時代にふさわしい会社にすることの必要性を感じてもらいたいと考えていました。 そんなタイミングで、RUFT社長の古屋さんと出会い、同窓という気安さもあって、いろいろ相談するうちに、今回、新年仕事始めの日に、社員全員に研修してもらいたいと依頼しました。内容としては、大学の同窓会のおりに聞いた「組織作り」の考え方をベースに、当社なりにアレンジして、組織にとって大切な「ガバナンス」や「リテラシー」に触れるような内容にして欲しいと依頼しました。これから、五代目を中心にした強い組織を、社員全員で作っていってもらいたいという願いがきっかけとなります。
― 実際にどうでしたか。
三澤:朝の8:30~10:00までの予定でしたが、社員からは、講演後の質疑応答が活発にでて、30分以上時間を超過するという嬉しい状態となりました。古屋さんの熱量のこもったトークで、社員にも何か感じる部分が多かったのではと思います。会社を運営していくための4つの要素、「ビジネスモデル」、「人材」、「ソフトな組織インフラ」、「ハードな組織インフラ」というフレームワークが分かりやすく、どんなことに注意して組織運営をしていくといいのか、社員の頭の整理になったと思います。
これをきっかけにしていきたい。
― 今後はどうされますか。
三澤:研修を通じて、「ミッション、ビジョン、バリュー」の大事さがよくわかりました。「日本の美しさをワインに表現する。」、当社はこの言葉をミッションとしています。このミッションの実現のために、ワイン作りに精を出しています。社員には、この思想の大事さを再認識する機会になったと思います。古屋さんから提案もありましたが、この思想を具体的な行動に移していく。社員ひとり一人が、何をすれば、「日本の美しさをワインに表現できるのか。」このことを自問自答していくプロセスです。そのための組織的な仕組み作り、仕掛け作りを考えていきたいと思います。今回の研修をきっかけに、RUFTには、息の長い形で、伴走してもらいたいと考えました。
― 次のアクションは何ですか。
三澤:社員の意見をいろいろ聞いてみたいと思います。もちろん、五代目がどうしたいかもあります。今回の研修で印象に残った部分、大事だと思ったこと。社員ひとり一人、意見や感想、気づき、発見があると思います。古屋さんからは、当日の資料をそのまま頂きましたので、社内で共有して、質問や議論の場を設定したいと思います。自分は、「醸造家というものは、登山家のようなもの。ブドウがそこにあるから仕込むのだし、苦労がたくさんあるほうが、登ったときに景色がいい。」と『日本ワインで奇跡を起こす』に書きました。幸い、五代目は、フランスで本格的なワイン作りを学び、世界中のワインを研究し、国内でも有数のワインの作り手になりました。彼女も、「わたしにとって、ワイン作りとは、ワイナリーと家族への愛情そのものです。」と、同書の中で述べています。100年企業の次は、200年企業。家族経営の会社ですが、ワイン作りを通じて、日本の文化、社会に影響を与えていきたいと思います。
LOVE(愛情)が鍵です。
― LOVE-BASED COMPANY(愛情と誇りのある会社)について
三澤:LOVE-BASED COMPANYの考え方と当社の「Small is beautiful.」をうまく融合させて、当社のミッションを実践していきたいと考えています。家族経営だからこそ、社員への愛情、会社への愛情、商品への愛情、お客様への愛情、そして、気品高いワイン(GRACE WINE)作りを行う、日本の美しさをワインに表現しているという誇り。いたずらに拡大を目指すのではなく、一つひとつ、適正な規模と、もの作りへの愛情で事業を継続させていく。五代目には、私が作った土台の上で、より自由な発想で、GRACE WINEを高めてもらいたいと思います。
― 最後に何かありますか。
三澤:RUFTの「LOVE-BASED COMPANY」の考え方は、当社のようなファミリー企業には非常に向いていると思います。今後も、いろいろご相談したいと考えています。
―本日は、ありがとうございました。